巨匠の最期まで寄り添った椅子

北欧家具好きには、たまらない

世界的にコレクターの間で

人気を博するウェグナーの

名作チェアAP19

通称「ベアチェア」

作者本人が最期に選んだ椅子

北欧家具を代表するデザイナー

Hans J Wegner (ハンス・J・ウェグナー)

生涯で500脚以上の椅子をデザインした巨匠

そんな彼が最期を過ごす老人ホームに

連れて行ったのが、ベアチェア(AP19)なのだ

数々の愛される椅子の中でも

最後までウェグナーに寄り添った椅子

意外なあだ名の由来とは?

ウェグナーがデザインし、

APストーレンというメーカーから誕生

記者会見発表では「AP19」という名だった

その時に、一人の記者が

"まるでクマに優しく包まれたよう"と

いった比喩を用いた記事が出たことから

通称「ベアチェア」という名が

世界中に広がったのだ

なんという偶然と、当時に広まった名が

今もなお私たちの間で言われている

心温まるストーリー

デザインだけと思った?

どっしりとした座面・背面の存在感

そこに、

すっきりとしたアームが連なる

アームの先の爪(クマに例えて)は

生地ではなく木材へと切り替わる。

これはデザインの美しさだけでなく

手垢が付いて爪部分だけが

汚れなくて済むためなのだ。

安心して腕から連なる手のひらを

アームに置き清潔感を保つことができる。

"何年経ってもずっと愛されるように"

これこそ「こだわり」の境地と言える。

AP19とPP19との違い

ウェグナーがデザインしたことには変わりがない。

だが何故、同じベアチェアでも

APとPPとで名前が違うのか。

そこにはメーカーの違いと、

製作された年代の違いがあるのだ。

1951年〜1977年の僅かな期間のみ

APストーレン社によって製造された。

その後、2003年にPPモブラー社が

復刻版を製造するまで再販されていなかったのだ。

AP19は、大量生産前に作られた

ヴィンテージ家具の証なのである。

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