94歳、現役デザイナーが手がけた椅子
2023年時点、94歳の現役デンマーク人デザイナー
カイ・クリスチャンセン (Kai Kristiansen)
18歳という若き時代から家具製造に携わり、デンマーク王立芸術アカデミーで学んだ後、
わずか26歳で自身のデザインショップを開設
76年という半世紀以上の年月を家具作りに向き合ってきた、彼の代表作のみならず北欧家具の代表作の一つ
「No 42 / #42(Zチェア)」についてご紹介
師匠への敬意と己の信念
家具製造の見習いを終えたのち、クリスチャンセンは、デンマーク王立芸術アカデミーにてコーア・クリントに師事。
クリントは、古典的・伝統的な家具の形と技術を活かしたデザイン哲学を持っていた。
クリスチャンセンは、彼の哲学や教えに敬意を払い真摯に学びながら、同時に、
人間工学から機能性や生産性の高さっも同時に重視した家具をデザインしようと、家具業界への新たな風を吹き込んだと言われている
美しさは見た目だけじゃない
No42 / #42 が、「Zチェア」と呼ばれるようになったきっかけが、この椅子の特徴ともいえる、
背面からアーム部への繋がりがアルファベットの Z に見えるデザインから、この名称で親しまれるように。
背もたれは可動式で、座る人の背中に合わせて一緒に動いてくれるため、長時間快適に座ることができる
美しいデザインに特化することなく、座り心地への探究も人並外れた才能から誕生したのが、このZチェアなのだ
誕生当時の本物の椅子がここに
生涯かけて家具について考え続けるクリスチャンセン
よりシンプルに、より機能性を高く、より美しく。
このZチェアは現行品も販売されているが、半世紀以上生き続けて家具と向き合ってきた彼の当初のヴィンテージチェアがここに
遠く離れた北欧の地に彼がいる今この瞬間に、70年以上前に彼が作った椅子に座る
彼の当時の想いを感じているのか、優しさと情熱が混ざり合うような
なんとも不思議な感覚
こんな貴重な経験は、本物の北欧ヴィンテージ家具にしか
いや、このZチェアでしか味わえないのではないかとでも言いたくなる