皆が幸せになる椅子
デンマークの有名家具デザイナー
ボーエ・モーエンセンが
1947年に発表した
「J39 Shaker Chair(シェーカーチェア)」
18~19世紀、アメリカのシェーカー教徒が
教会で作ってた椅子がモチーフに。
製造工程までデザインし尽くされた
J39の魅力についてご紹介
別名「Peoples Chair/人々の椅子」
J39は
“ピープルズチェア=みんなの椅子”
とも呼ばれているの。
当時たった28歳のモーエンセンが、
デンマーク生活協同組合(FDB)にいた頃
一般庶民のための椅子のデザインを
依頼されたことがきっかけ。
彼に課せられたお題は、
「庶民の為に、
末永く愛される安価で
高品質な椅子」
5年がかりの"こだわり"
良質な質感は大前提
その上で、
誰でも購入できる価格帯
継続的に生産できる製造工程
5年もの年月をかけて
全ての条件を満たし
完成したこの椅子は
75年以上の時を経た
今もなお生産され続けているの
サステナブルな椅子の構造
彼のこだわりは
至る所に宿っている。
当時流行していた輸入素材を使わず、
豊富に使えるビーチ材やオーク材に。
可能な部分は最新技術で工業化し、
生産コストを徹底的に抑える。
座面のペーパーコードは
歩合制で賃金を支払う制度を設け
八百屋など異なる業界の人でも
お金を稼げる仕組みで持続可能な生産に。
製造工程までもを
デザインした彼の功績は
今もなお愛され続ける椅子として
成功を収めたの。
Borge Mogensen / ボーエ・モーエンセンについて
(デンマーク・1914-1972)
ハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールと並ぶデンマークを代表する家具デザイナー。
余分な装飾を排し、無駄の無い構造の美を追及したモーエンセンは、デンマーク王立芸術アカデミーの前身であるデザイン学校の家具学部でコーア・クリントに師事。その後も助手としてクリントからデザインを学びました。
デンマーク王立芸術アカデミーで、クリントが唱えていた人体構造に重きをを置くデザイン手法や、その思想に深く傾倒しましたが、装飾的でエレガントな場所に向けて家具をデザインしたクリントに対し、モーエンセンは一般庶民のための家具、そして量産システムに乗りやすい家具のデザインに特化してデザインをしていました。
1934年に家具職人としての修業を終えると、モーエンセンは次に家具デザインについても本格的に学び始め、同時にコーア・クリントやモーエンス・コッホのデザインスタジオに勤務しましま。デンマークの生活協同組合FDBの家具部問のチーフデザイナーに任命される1942年までこれを続け、就任後は品質が良く、手頃な価格の一般消費者向けの家具をデザインしました。
彼の作品は常に大衆目線のデザインで、デンマークの近代家具の中でもひときわ機能的で丈夫な家具が多く、家具デザインの構造の簡素化と細部に人の手を必要とする職人技術を追求し続けました。シェーカー家具を基に、シンプルで使いやすく丈夫な家具をデザインしたことで知られています。