常識を真っ当から変えるブレない男

数いる有名北欧デザイナーの中でも、当時の常識を覆してもなお人気作を生み出し続けていたのがデンマーク出身のフィン・ユール(Finn Juhl)

彼の人生を賭けて貫き続けた彼の信念と、代表作の一つと言われているスペードチェア(Spade chair)についてご紹介。

批判なんて怖くない

当時「デザイナーであれば木工マイスターの資格を取得しているべき」「クリントが提唱するリ・デザインや数学的アプローチを用いるべき」と言われていた。

そんな業界の常識に対して、

資格もなしに家具よりも建築を学び、さらにはクリントの提唱よりも美術・芸術からインスピレーションを受けた独自のアプローチを貫いていたのがフィン・ユール。

そのためクリント派や木工マイスターの一部の人からは批判を受けることもあったよう。

チーク材で量産家具の挑戦

スペードチェアは1954年にデザインされ、デンマークの家具メーカーFrance & Son社が1960年代に製造したと言われている。

当時はチーク材は量産家具には不向きな素材と言われていた。そこに新たに接合刃が誕生したアイテムをいち早く取り入れたことで、初の量産家具としてこのスペードチェアが誕生。

業界内にも衝撃をもたらしたスペードチェア。

常識を覆したチェアの魅力

スペードチェアの特徴は、唯一無二のアーム部分。

デザインとしての特徴はもちろんだが、アームの先を握って安心感を感じる心理的にも優しい椅子なのだ。

また、背もたれの部分は背中の丸みに合わせてスプリングするため、しっかりと包み込まれたような温かさを感じられる。

自分を貫く意思は常に自分の心が決める。何かに躓いた時、この椅子が勇気を与えてくれるように。

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