短い人生で何を残せるか
スウェーデンのデザイナー、
Nils Jonsson(ニールス・ヨンソン)。
1950-60年代の北欧家具全盛期に
チェストなどの箱物家具デザイナーとして
時代を盛り上げた一人である。
若き天才でも常に行動し続け
自分の特技を極めていった男。
そんな知る人ぞ知るニールス氏と
彼のヴィンテージ家具についてご紹介。
自分で考え、切り拓いた道
ニールスは、スウェーデンのスモーランド生まれ。
14歳のときに家具工場の見習いとして
キャリアをスタートさせた。
その後、20代後半という若さで
スウェーデンの小さな町に家具工房を開く。
その工房で、品質・形状など、彼らしい
独自の家具スタイルを生み出していった。
学校に通うでもなく、
師匠から教わるでもなく、
自分を信じて、常に挑戦してきた結果
若き少年を成長させたのだ。
流行よりも、得意分野に集中
1950-60年代、
椅子や照明のインテリアが注目されていた中、
彼はチェストやサイドボードに力を注ぐ。
全体的にシンプルで一見簡素な印象でも、
絶妙なサイズ感やで細部まで配慮された
バランスが素晴らしいと評価された。
1960年シカゴのグッドデザイン賞や
1959年のルニング賞など、
数々の名誉ある賞を受賞。
自分の特技を磨き続け
「箱物家具といえばニールス」
という地位を確立したのだ。
短い人生で、何を残すか
44歳という若さで亡くなった。
14歳で家具職人として働き、
短き人生を全うした男。
北欧家具を代表するデンマーク人
デザイナーが目立っているのが
今の時代の現実ではあるけれど、
彼が残したこのチェスト、
彼が残した努力の結晶は、
今もなお、こうして
私たちに愛されているのだ。