ビジネスはいつの時代も壁がある

北欧家具を代表するデザイナー
Hans J Wegnerによるラウンドテーブル。
1954年に彼によってデザインされ
今はなきデンマーク家具製造会社の
Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)社が担当。
アンドレアス社の成功と衰退について
知りたい方もいるのでは?
当時のビジネスストーリーも含めて
実感できる興味深いテーブルご紹介!
時代の変化に気づけるか
1900年代
アンドレアス氏によってデンマークで創業された
家具製造メーカーAndreas Tuck社。
フリッツ・ヘニングセンがデザインした家具をメインに製造していた。
1950年頃にアンドレアス氏は、世の中の思考の変化に気付き始める。
その変化とは、ウェグナーが掲げていたコンセプトそのもの
「デザインと品質から消費者が選ぶ、
リーズナブルな価格帯の家具」
彼のコンセプトが広がっていくのを感じたアンドレアス氏。
彼はウェグナーの家具を、複数のメーカーが垣根を越えてトータルに販売するネットワークである「サレスコ」のメンバーに加わった。
当時では珍しい方法でも、いち早く取り入れることを決めたのだ。
得意分野に集中する
サレスコのメンバーとして、得意分野のテーブルの製造を担当することになった。
今も代表するラウンドテーブル"AT8"は、
1954年にデザイン・製造され、デンマーク国外でも人気になった家具の一つ。
「自分たちの得意分野で北欧デザイナー家具を
一人でも多くの人に届ける。」
自社のプライドよりも時代が求める価値に
全力で対応したメーカーが時代を勝ち取った。
衰退はすぐそこだった
サレスコの一員として、アンドレアス社はAT8のみならず、AT310やAT312、AT10やAT40など、現在もヴィンテージ家具として人気の高い数々の名作を輩出。
しかし、1968年にサレスコが解散することになり、ウェグナーとの関係も解消。
ハンス・J・ウェグナーとの出会いがアンドレアス社の全盛期を作った。
と同時に、
彼との別れで急速な衰退へと進んでいった。
トップを取ることよりも、トップを維持し続けることの難しさは、いつの時代も変わらない。
過去の失敗が今の価値に
その後も様々な方法で会社存続を試みたが、上手くいかず1972年に廃業。
AT8のラウンドテーブルは、現在カースハンセン社が製造している。
だが、当時のチーク材の天板とオーク材の脚の組み合わせは、アンドレアス社で造られたもので今後は誕生しない。
廃業により、ヴィンテージ家具としての価値はより高まった。
過去の失敗は、現代の希少価値として今後も注目を浴び続けていくのだ。