"価値"という現実とロマンス
1950〜1960年代、北欧の小さな工房で生まれた「HORSNÆS(ホースネス)」。
デンマークの老舗家具メーカーSika Møblerが1991年に買収したことから、今は存在していないブランド。
生き残る厳しさを理解しながら、
希少性として価値が上がり続ける
時間という重みを実感するHORSNÆSの
ヴィンテージベッドをご紹介。
素材への敬意があったからこそ
HORSNÆSはデンマークの港町の地名。
籐家具・バスケット類から事業をスタートさせたと言われている。
彼らはチークやオークといった天然木を、一つ一つ選び抜き、木目の流れを生かして加工することにこだわりを持っていた。
直線と曲線のバランス、脚部の角度、接合部の精度。
自然に囲まれたHORSNÆSという地域で生まれたブランドだからこそ、素材に対する敬意が溢れているのだ。
想いは競合も同じだから
1991年、競合といわれていたSika Møblerに買収され「Sika-HORSNÆS」に変わった。
2009年の近年に代表が変わり経営方針を変更した経緯もあり、Sika-Designに変わったものの、当時のデザイン哲学は受け継がれている。
競合からの買収であっても、HORSNÆSという名を残された歴史は、彼らの高技術がブランドとして愛されていた証。
より良い家具を世の中に届ける想いから進化した新たな道だったのだろう。
職人技術の象徴がある
1950-60年代の当時のHORSNÆSの引き出し付きシングルベッド。
ヘッドボードとフットボードに並ぶスピンドル(縦格子)は、北欧デザインを象徴するディテールのひとつ。
空間を遮らず、光や風を通すデザインは、1950年代当時、木工職人の高度な曲げ加工技術の象徴でもあり、今日では再現が難しい精緻な手仕事。
脚部はテーパード(先細り)デザインで、先端には小さな真鍮キャップが施され、軽やかでありながら安定感を味わえるプロポーションなのだ。
時間で価値が変わるということ
HORSNÆSのヴィンテージベッドが、この品質で残っているのは珍しいこと。
今はなきブランドだからこそ、世界でも希少価値がついて、ヴィンテージ好きからも注目を集めている。
時間によって変化した価値について、感慨深い気持ちが込み上げてくる。
このロマンに包まれながら、ゆっくり眠りにつきたい。